「year-by-year 日本戦国勢力」ページの余白

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1.動機
姉川戦で朝倉・浅井は滅亡したのでも、長篠戦で武田が滅びたのでもないことは知っていた。でもそういえば今川家はいつなくなったんだろう。備中高松で秀吉と戦っていた毛利氏はいつから秀吉配下の征西軍になったのだろうか。 そんな疑問に答えてくれるホームページがなかったことがそもそもの発端です。武将事典のようなものはよく目にしますが、領域として戦国各家の消長を捉えてくれる、そんなページならこれら疑問に応えてくれそうです。私自身のバックグラウンドのせいか、面で知識を整理したかったのです。 なけりゃ作りますか、というわけで自作を意識したのですが、せっかく作るからには、よそさんに同じようなものができる前に作りたい、と考えるのは人情でしょう。突貫工事で課題山積です。なかには

永禄三年
(1560)
越後・伊庭義明、境川に漂着し、長尾景虎の庇護を受ける
越中・長尾景虎・伊庭義明、黒部川で神保・椎名連合軍を破る(黒部川合戦)
越後・伊庭義明、沼垂沖で色部氏増を破る(沼垂沖海戦)

みたいなものが混ざっているかもしれません(歳がばれるね。こりゃ)。
でもいかがですかこのページ、あなたの持っている疑問のいくつかに答えていますか?

2.対象とする年代
1540年初-1590年末としています。終わりの1590年は教科書的にも全国統一の年なので、異論の余地は少ないと思いますが、始まりが1540年になっているのは恣意的なものです。最初は「天下統一」というゲームに倣い、天文20(1551)年からを考えていたのですが、武田信玄を調べていると1542年諏訪攻略を皮切りとした40年代の一連の軍事行動で信濃に勢力を扶植していたことがわかりました。そんなわけで10年ぐらい遡らせるかと考え、切りも良さそうだし、尼子の安芸郡山侵攻と敗退あたりからやるのが、まぁよかろうと芋づる式に考えたわけです。とはいえ1538年武田信玄初陣としての信濃海ノ口攻めや1537年北条氏綱・武蔵河越攻略とか、その後の布石になりそうな事蹟もありますが、切りがないのでやめたわけです。

3.彩色
3-1 誰に色を与えるか
領域として表現するには、色を塗り分けることが手っ取り早いですので、ここでもそうしたのですが、どの家に固有の色を与えるかはちょっと考えました。このページは普通・戦国大名に数えることの多い朝倉・斎藤あたりを捨象している反面、大内を加えていることに特徴があるでしょうか。当初はこれらのほか、宇喜多・浅井・六角・里見・佐竹・最上らへんまで網羅しようとしていたのですが、色数を絞るべきかなぁという見映え上の判断を優先させ、複数ヶ国領有したことのある家を中心に選択しました。 彩色することは服属関係を示すのに手っ取り早いことに気づきました。たとえば讃岐の十河家は三好長慶末弟が十河一存として継いでいましたので、1560年代は「三好色」になっていますが、1580年代の十河存保は「秀吉軍」として豊後戸次川戦に参加していますので、いつのまにか「織田・羽柴色」になっています。

3-2 誰を何色にするか
(この項はばかばかしいので、飛ばしてもらって結構です)
自分が持つ各家のイメージを投影したいので、それなりにこだわりを持って、でも文字と重ねる関係から、なるべく薄い色で、薄くても境界はわかるようにという具合に多元連立方程式のとりあえずの解を出してみました。
自分の持つ色のイメージとしては、
赤・武田
茶・島津、徳川
青・大友、上杉
緑・龍造寺、長宗我部
黄・毛利
ですが、
織田−羽柴系を全体に対してアピールする観点から織豊を赤とまず決め、徳川の茶、毛利の黄を置き、あとはRGBの数値を0x7F、0xBF、0xFFの順列組み合わせで目立ちそうな色で選択した結果がお示ししているものです。 意外に使える色が限られましたので、西日本勢と東日本勢で共用することとしカップリングしてみました。すると巧まざる妙がそこはかとなく感じられたので、敢えて別項設けた次第です。
精強なイメージのある島津と武田→質実=灰
京文化薫る大内と今川→高貴色=紫
宗教色ある当主を戴く大友と上杉→大友&上杉カラー=青
成り上がりの長宗我部と北条→長宗我部カラー=緑
(三好・伊達・龍造寺・尼子は余ってしまったので適当に)
とし、領国が近そうな家は色相環的には近くならなそうにおいたつもりです。
このなかで、大内&今川の高貴色は、いい得て妙なりと、悦に入ってたのですが、どちらも最初の方に消えるのに対して、大友&上杉はいつまでも残るので、大友と大内を入れ替えることにしました。 これで最終的に残る島津、大友、長宗我部、伊達、龍造寺(鍋島)が別々の色となり、最終案を見たわけです。別の見方をすると織豊・徳川・毛利の暖色系とそれ以外の寒色系の対比となったともいえます。

4.課題
・薩摩、大隅への島津宗家の浸透過程(菱刈、渋谷、肝付、蒲生、伊地知)
・日向・県、土持氏とは何者か
・肥後北半部、肥前東半部、筑後、筑前を大友色に塗っていることの可否
・豊前(門司・香春岳)の大友・毛利抗争状況把握のいい加減さ
・壱岐の波多氏の素性(松浦氏の家臣?)
・壱岐・対馬の色の塗り方
・土佐、長宗我部氏の膨張過程
・三好氏の縮小過程。阿波守護としての細川氏の表現
・安芸、備後、備中、美作の大内=毛利、尼子の勢力変遷
・山陰道各国の尼子と山名の勢力変遷
・紀伊畠山高政はいつまで影響力があるか
・紀伊山地の権力浸透は考えなくていいか
・越後内部の長尾=上杉氏の浸透度
・武蔵・上野・下野・常陸・下総・上総を舞台にした北条・上杉の消長
・奥羽のすべて
要するに、全部

5.参考資料など
・熱田公(編集執筆):「年表 日本歴史 3 鎌倉・室町・戦国(1185―1567)」井上光貞・児玉幸多・林屋辰三郎編集,筑摩書房,1981
・原田伴彦(編集執筆):「年表 日本歴史 4 安土・桃山・江戸前期(1568―1715)」井上光貞・児玉幸多・林屋辰三郎編集,筑摩書房,1984
・「読める年表・日本史 改訂新版」(川崎庸之、原田伴彦、奈良本辰也、小西四郎総監修),自由国民社,1998
・西ヶ谷恭弘 編:「国別 守護・戦国大名事典」,東京堂出版,1998
・山本大、小和田哲男編:「戦国大名系譜人名事典 東国編」,新人物往来社,1985
・山本大、小和田哲男編:「戦国大名系譜人名事典 西国編」,新人物往来社,1986
・「別冊歴史読本(10) 入門シリーズ<戦国合戦「古記録・古文書」>総覧」,新人物往来社,1999
・「別冊歴史読本(52) 戦国大名370家出自事典」,新人物往来社,1996
・児玉幸多編:「日本史年表・地図」,吉川弘文館,1995
・吉永正春:「九州戦国合戦記」,海鳥社,1994
・今谷明:「戦国三好一族」,新人物往来社,1985
・利重忠:「名族大内氏の盛衰」,新人物往来社,1993
・紫桃正隆:「みやぎの戦国時代 合戦と群雄」,宝文堂,1993
・完全戦国年表:http://www.asahi-net.or.jp/~mh6h-ecg/ksn/
・茶筅まげ:http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~c396110/
・長宗我部元親とその時代(高知県教育委員会):http://www.edu.net-kochi.gr.jp/area/fr-chou.htm
・システムソフト:「天下統一」,1989
・山口登志夫:南虎史略(下)−戦国熊野の覇者・堀内ニ代記−,「熊野誌」Vol.43,新宮市立図書館内熊野地方史研究会,1997